はじめての広報 広報PRノウハウ

広報PR担当者が最低限知っておくべきリスクマネジメント(2025年5月時点) ~2. 広報PR担当者が最低限知っておくべき法務知識のキホン(1)~

危機管理広報・クライシスマネジメントのテーマの「広報PR担当者が最低限知っておくべきリスクマネジメント」2回目は、最低限知っておくべき法務知識のキホンを紹介します。

PESOモデルの時代により広報活動範囲は拡大し、広報発信量も増加、ステークホルダーとのコミュニケーション量は増大するばかりです。通常の広報業務では、いちいち法務部門や弁護士などによるチェックは入れず、現場で瞬時の判断が必要となります。そのため、広報担当者自身が情報発信のリスク面を認識し、必要なリーガルスキルを磨いておくことが欠かせません。
(PESOモデルについては、既述コラムで紹介しています。「知っておきたい!情報過剰の時代に 「中小企業の自社を知らない人に伝える」ためのキホン【後編】」

弁護士や法務部門等の専門家へのスムーズな連携のためにも、身につけておきたいスキルです。
知らず知らずのうちに法令違反をしてしまったということがないよう、いずれも当事者意識をもつことが重要です。

企業のブランドイメージは「組織の品性」とも密接な関係がありますが、「広報の品性」は企業組織の品性に直結すると考えます。
常に社外から見た客観的な視点が必要な広報にとって、リーガルマインドの素養は「広報の品性」の向上にも欠かせないと思います。

まずは、2つの法務テーマからスタートします。

1.景品表示法
景品表示法は、正式には、「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。
景品表示法の目的は、①商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止すること、②一般消費者の利益を保護すること、としており、消費者保護に関する代表的規制法の一つです。

実際より良く見せかける表示や、過大な景品付き販売により、消費者が不利益を被るおそれがあります。そのため、景品表示法では、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示を行うことを厳しく規制し、過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限し総額等を規制しています。改正景品表示法が2024年に新たに施行され、消費者の保護を強化するため、罰則の内容が変更されています。

景品表示法の所管は消費者庁です。

広報PR活動において、デジタルを含む広告やキャンペーン活動に深く関連する法務テーマです。もし、景品表示法違反があった場合、企業イメージの低下や消費者およびステークホルダーの信頼も失います。企業のブランド価値に影響する非常に重要な法務テーマになります。企画段階から注意深く設計していくことが欠かせません。

■参考サイト(消費者庁サイト内):
事例でわかる景品表示法【改正景品表示法対応版(令和6年10月1日施行)】
事例でわかる景品表示法(令和6年12月改訂)[PDF:13.6MB]

2.薬機法
景品表示法と同じく、消費者保護に関する規制法の一つとして、薬機法(やっきほう)も広報PR担当者が知っておきたい法律です。薬機法は、正式には「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。旧薬事法が2014年に改正された法律で、医薬品等の効能や性能等に関する虚偽広告も規制しています。

薬機法の目的は、「有効性及び安全性の確保並びにこれらの使用による保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止のために必要な規制を行うとともに、指定薬物の規制に関する措置を講ずるほか、医療上特にその必要性が高い医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ること」としています。

2021年の改正薬機法の施行では、罰則規定の強化により、課徴金制度が新たに定められています。
規制対象の品目は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品と指定薬物となっています。

薬機法の所管は厚生労働省です。

■参考サイト(厚生労働省サイト内):
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の概要

自社の所属が業界外であっても、効果表現にはルールがある点を認識し、医薬品等の広告規制について把握しておきましょう。

次回も続きます。

東京都中小企業診断士協会城北支部 広報部
田中尚美

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