はじめての広報 広報PRノウハウ

【広報PRノウハウ】知っておきたい!情報過剰の時代に 「中小企業の自社を知らない人に伝える」ためのキホン【後編】

「ステークホルダーやターゲットに自社の情報を確実に届けたいけれど、どのように情報伝達を設計したらよいかわからない」と悩む中小企業の広報PR担当の方に、PESOモデルについてご紹介します。

「PESOモデルって何?難しそう」と尻込みしてしまうでしょうか?
でも、PESOモデルを理解しておくとデジタル時代のいまのPR広報の仕組みや情報流通経路を理解するコツも理解できるようになります。そして、自社にとっての広報PR活動をどのように設計すればよいかを考えるのに、大きなヒントになるはずです。

【前編】で昨今の情報流通構造の進展について解説しました。【後編】では、いよいよPESOモデルを使って自社の広報情報戦略のグランドデザインを描くことができるよう、わかりやすくご紹介します。

■広報PRはPESOモデル時代

PESOモデルとは、企業が生活者とのタッチポイントを4つのメディアによってコミュニケーション戦略を立案するマーケティングのモデルです。
PESOモデルは、「ペイドメディア(Paid Media)」「アーンドメディア(Earned Media)」「シェアードメディア(Shared Media)」「オウンドメディア(Owned Media)」の4つのメディアで構成され、それぞれの頭文字を示しています。

PESOモデルによって、何が新しくなったのでしょうか?
従来の広告やパブリシティを中心としたコミュニケーション施策から、SNSやインフルエンサーなどによって、生活者に対しダイレクトな対話をリアルタイムで実現できることが、従来手法との大きな違いになるでしょう。さらに、4つのメディアを統合し、リアル&オンラインのハイブリッドで相互に連携し相乗効果を発揮できることも特徴のひとつです。
そのため、広報PR手法には多様なデジタルツールも活用されるようになっています。

PESOモデルは、情報流通構造が複雑化するなか、企業や組織が価値あるコンテンツの効率的・効果的な情報流通経路を思案するために、戦略的な広報PR施策には欠かせないモデルなのです。

■戦略的広報に欠かせないPESOモデルの4つのメディアとは?

それでは、PESOモデルの4つのメディアを具体的に解説します。

1. ペイドメディア(Paid Media)
有料メディアのことです。
企業は広告費を払ってテレビ・ラジオ・新聞・雑誌のマス広告や、インターネット広告・動画広告などをメディアに出稿し、掲載します。告知期間やターゲット層を指定し、伝えたいメッセージを企業側がコントロールできるのが特徴です。幅広いターゲットに認知拡大を図るのに効果的な手段であり、即効性もあります。一方、継続的な出稿には広告費が必要になってきます。

2. アーンドメディア(Earned Media)
第三者からの目線でニュースとして配信・報道される、企業外の第三者が運営する独自メディアのことです。
企業はプレスリリースなどのパブリシティ活動によって、テレビや新聞などの4マスやネット系ニュースサイトなどに対して情報を発信します。有料メディアの広告とは異なり、第三者メディアの独自の視点やタイミングで生活者に向けて報道されることになります。第三者メディアから信頼される情報として自社の情報が発信されたあと、さらに二次報道や他のメディアにも注目され拡散していくことも多く、影響力が大きいのが特徴です。
広報PR担当者は、自社の情報と社会的意義との関連を整理し、第三者メディアの視点を理解して発信することが求められます。

3. シェアードメディア(Shared Media)
生活者・消費者が発信し共有するメディアです。クチコミといえばわかりやすいでしょう。オフラインのクチコミに加え、TwitterやFacebookなどのSNSやブログ、YouTubeなどの動画共有による拡散も含まれます。大きな特徴として、多数のファンやフォロワーを抱えて影響を及ぼすインフルエンサーの存在が、企業にとって無視できないメディアとしての役割を持つようになったことでしょう。消費者・生活者にとって身近な存在となるインフルエンサーからの情報価値は大きくなっています。
そのため、企業もインフルエンサーとの良好な関係構築を図るようになっているのです。

4. オウンドメディア(Owned Media)
企業自身が保有し管理するメディアです。デジタルで運用する自社Webサイトや、自社ブログ、自社SNSやメルマガ、自社公式動画などが主要な手法として活用されています。広義では、紙媒体の広報誌やセミナーなどのイベント、店舗チャネル、テレアポや営業なども含まれます。
デザインや内容を自社で自由にコントロールでき、長期的・継続的に自社の魅力を伝えることができる点が大きな特徴です。
自社コンテンツを発信するメディア起点としての役割を有します。また、コンテンツを蓄積するアーカイブ機能の役割があるので、企業の資産価値もあります。

以上のように、PESOモデルのキホンについてお伝えしてきました。
PESOモデルを活用して、自社のステージや目的に合わせ、長期的・短期的視点も取り入れ、コミュニケーション戦略の施策を整理してみることをおススメします。

「ひとり広報」や「兼任広報」で多くのことに着手できない悩みもあるはずです。
限られたリソースや広報活動予算のなかで、どのように自社の情報流通経路を図り、何から着手し、何に注力していくのかも重要な視点となるでしょう。競合他社や異業種のケースも研究してみてもヒントが得られるかもしれません。

今後も中小企業の広報PR担当者を支援するために、今後も実務に役立つノウハウや情報をお届けしていきます。

東京都中小企業診断士協会城北支部 広報部
田中尚美

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