危機管理広報・クライシスマネジメントのシリーズ5回目は、前回に引き続き、最低限知っておくべき法務知識のキホンです。
今回は、個人情報保護法について、簡単にポイント紹介します。
関連して、生成AIにおける国の動きがありますので、企業のガバナンス体制に影響するものとして動向をチェックしておくことも重要です。
詳細および、実務においては法務・知財部門との連携を必ず図っておきましょう。

6.個人情報保護法とは
個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)とは「個人情報」の適正な取扱いに関し、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする法律です(第1条)。
2003年(平成15年)に制定、2015年(平成27年)、2020年(令和2年)、2021年(令和3年)に改正されています。個人情報保護法のもとに、内閣が定める施行令と個人情報保護委員会が定める委員会規則が存在します。
個人情報保護法は平成29年5月30日からはすべての事業者に適用されています。
つまり、個人事業主・NPO法人・自治会・同窓会等も適用対象です。
基本理念を定めるほか、民間事業者の個人情報の取り扱いについても規定しています。
規定しているのは次の4つの基本ルールです。
(1) 取得・利用に関するルール
(2) 保管・管理に関するルール
(3) 第三者提供に関するルール
(4) 本人からの開示請求等に関するルール
個人情報取扱事業者等が個人情報保護法に違反した場合の罰則も細かく規定されており、注意が必要です。
個人情報の漏えい等の有事が発生した場合、個人情報保護委員会への報告および本人への通知を行うことが必要で、さらに関係各所への公表や対応が迫られます。
プレスリリースの対応など広報担当者の現場にも関連業務が及ぶことになり、その後の継続的なコミュニケーションが求められるので、覚えておきましょう。
また、個人情報保護法は情報の性質ごとにルールを設定しています。
「個人情報」・「個人データ」・「保有個人データ」や、「要配慮個人情報」、加えて「仮名加工情報」「匿名加工情報」のほか、「生存する個人に関する情報であって、個人情報、仮名加工情報及び匿名加工情報のいずれにも該当しないもの」として「個人関連情報」についても規定しています。
要配慮個人情報とは、個人情報のうち、特に取扱いに気を付けるべき個人情報として人種、信条、病歴、犯罪の経歴、心身の障害に関する情報、健康診断などの結果などが該当するとされています。
どの種類のデータを取り扱うのか、扱うデータがどの分類に属するのかを評価することが重要です。
個人データの取り扱いにおいては、外部事業者への委託契約を締結する場合に問題となるケースもあり、更に外国にある第三者に提供する場合は越境移転規制(28条)を遵守する必要があるなど、グローバルな法規制と複雑に絡み合う規制があるため、やはり法務専門家および弁護士との連携が欠かせません。
詳細は下記の参考サイトに目を通すことをおすすめします。
■参考サイト:(個人情報保護委員会)
①中小企業向け はじめての個人情報保護法~シンプルレッスン~ -個人情報保護委員会-
②民間事業者向け個人情報保護法ハンドブック-個人情報保護委員会-
③個人情報保護法の基本-個人情報保護委員会-
■参考文献:
ビジネス法務2025年10月号 特集1「個人情報保護法の基礎知識と実務対応 総ざらい」中央経済社。

【生成AIと個人情報保護について】
生成AIの急速な普及に伴う個人情報保護のリスクや企業の対応策を図るのに、国の指針等について現時点の動向も知っておきたいところです。
- まず、個人情報保護委員会は、令和5年6月に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」を公表しています。
- そして、総務省と経済産業省が、「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を令和6年4月に取りまとめています。
- 令和7年6月には、デジタル庁による行政・組織向けガイドラインとして、行政機関が生成AIを利用する際の安全性確保や、情報漏洩を防ぐためのガイドラインを策定。「テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)を公開しました。組織が安全にAIを導入・運用するための方針を提供するものとしています。
- 最新のニュースでは、個人情報保護委員会が令和8年1月9日に「個人情報保護法の改正方針(案)」を公表しました。AI開発を含む統計情報などの作成は本人同意不要となったこと、違反時の課徴金制度の導入なども追加されており、AI開発の促進と個人情報保護のバランスを重視したものとなっています
【AI新法が成立】
2025年5月28日、日本において人工知能(AI)分野に特化した初の法律「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(通称:「AI推進法」、「AI新法」など)が参議院本会議で可決・成立し、6月4日に施行されています。今後、企業においては、政府の基本計画の内容やガイドライン策定の動きを注視しながら、企業内のAI関連施策の継続的な見直しが必要になってくるでしょう。
■参考サイト:(内閣府)
人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)
次回も続きます。
東京都中小企業診断士協会城北支部 広報部
田中尚美
