はじめての広報 広報PRノウハウ

新人広報担当者のためのDM活用のすすめ~(3)効果的なDM活用法

これまでのコラムでは、ダイレクトメール(DM)の魅力その活用メリットについてお伝えしてきました。
DMが直接的なコミュニケーション手段として、パーソナライズや多様な形式を活用することで、受け手に強い印象を与えることができる点、そしてターゲティングの精度や測定可能な成果、ブランド認知度の向上といった具体的なメリットについて詳しく見てきました。
今回は、広報活動においてDMというツールを効果的に活用された方法についてお伝えします。
広報活動は広く情報を伝えることが目的ですが、その中には特に伝えたいターゲットが存在します。
これらのターゲットに対して、デジタルや紙媒体のDMを活用して情報を伝え、反応を引き出すことが重要です。

戦略的な広報活動のご提案
広報は広く等しく情報を届けるのが基本ですが、そのうえで特に情報を届けたい顧客やターゲット層にアクションを促す広報活動も、中小企業やスタートアップ、ベンチャー企業だからこそ必要ではないでしょうか。
DMを活用することで、特定のターゲット層に対してパーソナライズされたメッセージを届け、より深い関係を築くことができます。
これまでのコラムで、DMの直接的なコミュニケーション手段としての魅力や、ターゲティングの精度、測定可能な成果、ブランド認知度の向上といった具体的なメリットについて詳しく説明しました。
DMはデジタルや紙媒体を選べるため、ターゲット層に応じた最適な方法で情報を届けることができます。
さらに、QRコードや専用のURLを使用することで、受け手の反応を分析し、次回のキャンペーンに向けた改善点を見つけることができます。
DMは、正しく情報を伝え、顧客の心を動かし、自社を知ってもらい、ファンになってもらうための手段です。
広報活動の本来の目的である、企業の魅力を伝え、信頼関係を築くことをDMというツールを通じて実現してほしいと思います。

広報部門の具体的DM活用方法
広報部門が主体となって実施した2つのDM事例を通じて、具体的な活用方法を紹介します。

(1)IR広報(株主や投資家に対する広報)のDM事例
ソフトバンクの「未来をつなぐDM」では、未来のテクノロジーやサービスのビジョンを描いたイラストやインフォグラフィックを使用し、受け手にワクワク感を与えました。
このDMは、QRコードを付したDMを対象の方へ送付し、既存顧客や見込み顧客に対してブランドイメージの向上を図りました。
ソフトバンクとして伝えたいことを、ムービーとしてWebサイト上に用意し、ソフトバンクが考える未来のビジョンを、DMを通じて誘導しています。
DMの目的はQRコードを読み取ってもらうことに注力していることが特徴で、そのためにDM自体には具体的な説明事項などはなく、ワクワク感からQRコードを読み取ってもらえるような設計が施してあります。
施策全体でみるとDMだけでなく、カタログやチラシ、メールなどあらゆる媒体を活用し、消費者や顧客が最適なチャネルからアクセスできるように設計されていますが、その中でもDMが強力なアプローチ手段として設計・実施されている点が特徴です。
このDMは、以下のような特徴があります。

ビジュアルの力
未来のテクノロジーやサービスを視覚的に表現することで、受け手の興味を引き、ブランドイメージを強化しました。特に、AIや5G技術の進化を描いたイラストは、受け手に未来への期待感を抱かせました 。

ストーリーテリング
DMの内容は、ソフトバンクが目指す未来の社会像をストーリー形式で伝えることで、受け手に共感を呼び起こしました。これにより、既存顧客や見込み顧客に対して、ソフトバンクのビジョンを共有し、ブランドロイヤルティを高めました 。

インタラクティブ要素
QRコードを利用して、受け手がさらに詳細な情報にアクセスできるようにし、DMの効果を最大化しました。これにより、受け手は自分のペースで情報を深掘りすることができ、より深い理解と関心を持つことができました 。

(2)採用広報のDM事例
リクルートの「新卒採用DM」では、大学生向けに企業文化や働き方を紹介するコンテンツを盛り込みました。
リクルート社の入社を希望する可能性のある大学生に対し、自社の企業文化や働きかたなど同じ内容を全ての受け手に送付するのではなく、受け手の興味関心事項に合わせてパーソナライズ化したDMを送付しました。
学生が興味を持ちやすいデザインと内容を提供することで、多くの学生がリクルートに興味を持ち、採用活動の成功に繋がりました。
このDMは、以下のような特徴があります。

ターゲットに合わせたデザイン
大学生が興味を持ちやすいデザインと内容を提供することで、多くの学生がリクルートに興味を持ちました。特に、カラフルで視覚的に魅力的なデザインは、学生の目を引きました 。

パーソナライズ
DMは、受け手の興味や関心に合わせてカスタマイズされており、個々の学生に対して特別感を与えました。これにより、学生は自分がリクルートにとって重要な存在であると感じ、応募意欲が高まりました 。

具体的な情報提供
企業文化や働き方について具体的な情報を提供することで、学生がリクルートでのキャリアを具体的にイメージできるようにしました。これにより、学生はリクルートで働くことの魅力を感じ、採用活動の成功に繋がりました 。

これらの事例から、ターゲットに合わせたパーソナライズや視覚的な要素の活用が効果的であることがわかります。
DMは、正しく情報を伝え、顧客の心を動かし、企業の魅力を伝えるための強力なツールです。広報活動において、DMを活用することで、特定のターゲット層に対して効果的なコミュニケーションを実現できます。

まとめ
広報活動において、DMというツールを活用することで、特定のターゲット層に対して効果的なコミュニケーションを実現することができます。
広く情報を伝える中でも、絞ったターゲットにはより詳しく情報を伝え、反応やアクションを引き出すことが可能です。
DMを広報活動の選択肢に加えることで、広報活動が充実し、企業の営業活動にも良い影響を与える非常に有効で面白い活動になるでしょう。
ぜひ、DMを活用して、広報活動をさらに充実させてください。

最後に
ここまでのコラムで、DMの魅力や効果、具体的な活用方法についてお伝えしてきました。DMは、ターゲティングの精度、測定可能な成果、ブランド認知度の向上といった多くメリットを持つ強力なツールです。これらの特性を活かして、効果的な広報活動を展開することで、企業のブランド価値を高め、顧客との関係を強化することができます。
全3回にわたるシリーズはこれで一区切りとなりますが、今後は実践編としてさらに具体的なDMの活用方法をご紹介する予定です。続編もぜひ楽しみにしていてください。広報担当者の皆さんが、DMを活用してより魅力的で効果的な広報活動を実現でき、これからの広報活動において、DMというツールが皆さんの強力な味方となることを願っています。

東京都中小企業診断士協会城北支部
畠中竜吾

 

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